LANLANパソコン(東京パックス/南中野パソコン教室のLAN化日記)

17.フレッツADSLへの移行 2001/5/8

 フレッツADSLは、NTT東日本及び西日本が提供しているサービスである。
 これ以外にADSL(Asymmetric Degital Subscriber Line)を提供している業者もある。
例えば、東京めたりっく通信やイー・アクセスなどである。
 しかし、以下では、NTT東西が提供しているフレッツADSLに絞って説明する。
 ある程度は、他の業者を利用する場合にも参考になるでしょう。

(1)手続き

 フレッツADSL開通までの流れは、NTTからのメールによれば、次のとおりである。
  1.お客様→弊社  ホームページにてお申込を頂戴いたしました
  2.弊社→お客様  フレッツ・ADSLご提供のための設備を確認致します
   3.弊社 →お客様 電話等でご連絡を差し上げ、ご提供の時期をご案内致します
    (直ちにご提供ができる場合は、工事日を決定いたします)
  4.お客様→プロバイダ 本サービス対応プランをご契約頂きます
  5.弊社 →お客様 ご利用案内を郵送致します(工事日の前日まで)
  6.弊社 →お客様 ADSLモデム・スプリッタにつきましては弊社からのレンタル/
    お買取りをお選びいただけます。また、取り付工事につきましても
    (1)弊社で取り付け工事を実施/(2)お客様ご自身でのお取り付けを
    お選びいただけます。
    上記(1)をご希望の場合はお客様宅にお伺いし、工事させて頂きます。
    上記(2)をご希望の場合は、弊社より機器をお届け致します。
  7.お客様 ご利用案内に従い、パソコンの設定をしていただきます

 ということである。
 当方の例では、最初の申し込みを2001年3月6日に行ったところ、上述のような内容のメールが送られてきた。
 なお、申し込みは、次のところで行った。詳細な説明もある。
 http://www.ntt-east.co.jp/flets/

 同年4月7日になって、再び、メールがあり、ADSLモデムの調達に時間がかかっているため開通が遅れて申し訳ないという、内容である。
 まあ、時間がかかるということは、聞いていたので、何か安心する。
 忘れられてはいないらしい。

 そして、4月20日過ぎに、NTT東日本webセンターより電話があり、開通の予定を知らせてきた。
 待ってました!
 これが上記の3番目にあたる。
 そして、電話で打ち合わせた上で工事日が同年5月8日になったわけである。

 次に当方が行ったことは、プロバイダーにフレッツADSLのオプションを申し込むことである。
 当方がフレッツISDNのプロバイダーとして利用しているASAHIネットでは、月額、450円+950円=1400円でフレッツADSLが利用できる。
 ただし、申し込みの当月は、設定料として別途、950円が必要である。
 従って、申し込みは、同年5月1日に行った。これが、上記の4番にあたる手続きである。
 申し込みは、ASAHIネットの会員であれば、ホームページ上で行えて1日以内に設定可能である。

 なお、ADSLモデムは、現状の価格では、NTTからのレンタル料がスプリッタと込みで490円/月で、これは、後述のタイプ1(電話と兼用の場合)の価格である。
 買い取りの場合は、モデムが23000円、スプリッタが1800円なので、金額合計は、50ヶ月分程度となり、5年以上使えば、買い取りの方が得になる勘定。
 しかし、モデム、スプリッタとともに販売競争が盛んになる見込みであり、モデムも1万円程度まですぐに値下がりすると考えられるので、あわてて買い取るのは、損でしょう。
 で、当方は、レンタルすることにしました。
 モデム及びその他の書類は、5/2に到着し、後は、8日の開通を待つばかりとなった。
 配線やパソコン側の設定につきましては、項を改めてご説明する。

(2)フレッツADSLの利用可能条件

 フレッツADSLは、電話局から家庭・事務所までの間が金属の電話線(メタル線)でないと利用できない。
 これは、ADSLの原理が通常の電話が使用している周波数より高い周波数の電気信号を利用することになっており、光ファイバーが途中にある場合は、そこで通常の電話で使用される周波数より高い周波数は、通さない設計になっているためである。
 (日経バイト2001年3月号に説明がある。以下では、同誌の記事を参考にさせていただいた。)
 光ファイバーが使用されている場合は、「回線の収容替え」(有料:24400円)で対処できる場合があるが、どうしようもない場合もあるようである。
 このことは、前述の申し込みを行った後にNTTが書類を調べて分かる仕組みになっている。webから電話局番を入力して判定できるのは、概略の可能性であり、完全なものではない。
 また、当方のようにISDNを利用していたものは、アナログ回線に戻す必要がある。
 これは、ISDNで使用する周波数とADSLで使用する周波数に一部重なるところがあるためである。
 変更の手数料は、約3000円であった。
 なお、ISDNからアナログに戻す際に電話番号が変わるケースもある。
 当方も、このケースでありやした。
 アナログ-->ISDN-->アナログとするケースでは、変更しないでも済む場合もあるようである。

(3)フレッツADSLの種類

 電話と共用する方法が、タイプ1。電話とは、別の回線を利用する方法がタイプ2と言われるものである。
 これは、下記の図を見ていただくと分かりやすい。
 タイプ2は、電話ではないので、施設設置負担金や基本料金がない。
 下図は、NTTの図を借用しました。(NTTさん、お許しください。)
 

(4)屋内配線の問題点

 フレッツADSLを利用して自分で配線する場合に注意を要する点は、屋外の電話線から家屋に取り込まれる個所にある「保安器」から以降の部分である。
 当方の場合は、ISDN利用時には、「保安器」-DSU-TA-電話及びパソコン(サーバー)と一直線で接続されていたため問題はない。
 ADSLを利用する場合は、「保安器」-「スプリッタ」-電話-ADSLモデム-パソコン(またはルータ)というようにスプリッタと呼ばれるマッチ箱大の大きさの器具で通常の電話信号とADSL信号を分離する。
下の写真で左側が保安器からの電話線のモジュラージャック。
 右側がスプリッタ。中央の白い短い電話線で両者を接続している。黒い電話線は、電話機への配線。もう一つ、右側に延びている電話線(写真では明らかではないが)がADSLモデムへの配線である。


 問題となるケースは、「ホームテレホン」を使用して各部屋で電話ができるようになっているケースである。
 この場合は、「保安器」-「分配器」と接続されて各部屋に分岐しているため、どこかの部屋でADSLを利用しようとして「分配器」より後の部分でスプリッタを設置すると他の部屋の電話機に雑音が入る。
 これは、スプリッタで分離されない高周波数のADSL信号が他の電話機に入り込むためである。
 従って、「保安器」と「分配器」を切断してその途中にスプリッタを入れるようにしなければ、いけない。
 ところが「分配器」がどこにあるかが不明な場合が少なくない。そのような場合は、自分で工事をせずに業者に依頼した方が無難である。
 スプリッタを各部屋に設置する考えもあるが、実際のケースでは、電話がかけられない場合があったようで、スプリッタを複数設置するのは、問題のようである。
 また、「分配器」の位置は、分かってもスプリッタとADSLモデムは、あまり離しておけないためADSLモデムの設置場所によっては、パソコンとの距離が問題になる場合が考えられる。(モデムとパソコン間は、長くても差し支えない)
 当方では、スプリッタに付属のコードが短いため5mほどの電話線でスプリッタのモデム側とモデムを接続したが、特に問題は出ていない。
 上記以外に「ガス検知器」や警備会社の「ホームセキュリティシステム」などが保安器以降に設置されている場合も保安器とそれらの装置の間にスプリッタを入れなければならない。
 このような場合、装置が外に設置されている場合もあるが、スプリッタは、防水加工ではないため、一度、内部に配線を引き入れてスプリッタを経由して電話信号部分を外部の装置に戻さなければならない。
 そのため、壁に穴をあけるなどの工事が必要になる場合もあり、関係業者と相談する必要があるでしょう。
 また、複数の電話回線をPBXを経由して利用している事務所などでは、配電盤からの電話線の1本を切断してスプリッタを入れて電話信号部分をPBXに戻す必要がある。
 このようなケースでも電話の屋内配線を行った業者と協議する必要がある。

(5)ADSLモデムの種類

 ADSLモデムは、出力側が1つの「ブリッジタイプ」とモデムがルータを兼ねている「ルータタイプ」がある。
 フレッツで提供されるのは、ブリッジタイプである。
 ブリッジタイプのモデムを利用して複数のパソコンからインターネットを利用する場合には、別途、ルータやハブを用意する必要がある。
 なお、現時点では、電話局側の装置とモデムとの相性問題があるようで、モデムを買い取った場合は、引っ越しなどの際に問題が生ずる可能性もある。
 このことからもモデムの買い取りは、難がある。
 下の写真は、ADSLモデム。

(6)当方の配線

 当方では、2Fの電話線の末端のモジュラージャックにスプリッタを接続した。スプリッタとジャックとの間隔は、付属のケーブル(15cm程度)で接続する。
 スプリッタには、「ADSL」と「TEL」と書かれた2つのジャックが存在するので、「TEL」に電話兼FAX用の電話線を接続する。スプリッタから先は、特に長くても差し支えない。
 次に「ADSL」側のジャックに電話線を接続して(約5m)、ADSLモデムと接続した。
 そして、モデムのLAN側に10BASE-Tケーブルを接続して、後述のブロードバンドルータのWAN側に接続した。 
 そして、ルータのLAN側に別の10BASE-Tケーブルを接続してハブに接続する。
 あとは、ルータの設定を行うだけでハブに接続されている複数のパソコンからインターネットに接続することができる。

(7)ブロードバンドルータとその設定

 フレッツISDN利用時と大きく変わったのが、このルータを利用している点である。
 フレッツISDNの際は、サーバーにTAを接続してプロキシソフトの力で複数のパソコンからインターネットに接続していたわけであるが、今回は、ルータというハードウェア(と内部のソフトウェア)を利用することになった。
 ADSLで使用するブロードバンドルータは、数多くの製品が販売されている。
 例えば、日経バイトの2000年12月号及び2001年4月号にテスト結果とともに掲載されている。
  当方では、12月号の掲載結果を見て「リンクシスジャパン」の「BEFSR11」という製品を選択した。理由は、設定画面が英語表記ながら、性能が高いこととヨドバシカメラで販売していたためである。
 価格は、ヨドバシカメラのインターネットショッピングで、17800円(税別:2001/4現在)であった。
 詳細は、リンクシスジャパンのホームページを参照して欲しい。
 http://www.linksys.co.jp/
 で確認できる。
 また、最新のファームウェアのダウンロードも行っている。当方も購入後、設定前に最新のファームウェアにバージョンアップした。(必須のようである)
 下の写真は、BEFSR11。


 フレッツADSLで利用するブロードバンドルータは、「PPPoE」というプロトコルを利用できなくてはならない。
 なお、ルータを利用せずにパソコンにモデムを直結する場合には、このプロトコルを利用するためのソフトがNTTから提供される。
 一方、前述のようにこのプロトコルに対応したルータを利用する場合は、このソフトは、不要です。
 ルータは、LAN側のパソコンとインターネット(WAN)側とを分離する。外部から内部のプライベートアドレスをコールすることを禁じている。
 これ以外にも不正なアクセスがないように配慮している。すなわち、簡易的なファイアーウォール機能が備わっている。
 製品によっては、詳細なパケットフィルタリングを利用できる製品もある。そのような製品は、主として企業向けで価格も4~5万円以上する。
 ルータの設定は、少し面倒であるが、分かりやすい日本語の説明書が付属しているので、ある程度、予備知識があれば、容易でしょう。
 リンクシスジャパンの製品は、ブラウザ(インターネットエクスプローラ)からのみ操作できる仕様になっている。
 画面が英語なので、できれば、日本語の画面の方が分かりやすい。
 日本製も増えているので、これから購入される方は、そのような製品を選択することも可能である。

 BEFSR11には、DHCPの機能があり、LAN側のパソコンにIPアドレスを自動的に割り振ることが可能である。
 当方では、既にパソコンにIPアドレスを手動で割り当てているため、この機能を停止して利用している。
 なお、サーバー側のDHCP機能を利用している場合は、必ず、ルータ側のDHCPをOFFにしなければならない。
でないと、LANの障害が発生する。警告しましたよ!
 また、ルータを外から設定できる機能もあるが、これらは、不正アクセスの温床になりかねないのでOFFにしておく。
(デフォルトでそうなっている)
 ASAHIネットのフレッツADSLオプションでは、グローバルアドレスの割り当てはないので、ルータのWAN側のIPアドレスは、プロバイダーから接続時に割り当てられることになる。
 従って、ルータの設定でもこの部分は、自動割り当てを指定する。
 一方、PPPoEの設定は、アカウント名(ASAHIネットのアカウント名。フレッツISDN当時と同一)とパスワードを設定する。
  その他のオプションとしては、アイドル時間が一定時間以上、継続した場合に切断する機能がある。
 当方では、一応、不正アクセスを防止するためにも15分間、インターネットの利用がなければ、自動的に切断するように設定した。
 なお、Keep Aliveというオプションもあり、こちらは、24時間接続しっぱなしにしたい場合に選択すればいいでしょう。

(8)ベンチマークテスト

 電話の方は、スプリッタを介して接続するだけで、すぐに利用が完了した。
 すなわち、電話局から工事直前に電話があり、30分程度後に再度電話があり、この時点で電話の受信を確認した。
 しかし、発信ができません!?
 おっとっと、忘れていた。
 ISDNの場合は、「ダイヤルの設定」が「トーン」であったのに対してアナログ回線に戻すと「パルス」に電話機の設定を変更しないといけない点である。
 あぶない、あぶない。
 これで発信も可能になった。
 さて、肝心のインターネットの利用であるが、ルータの設定が完了して、テストを行ったのが5/8の午後である。
 早速、適当なHPに接続してテストを行ったところ、「はやい、はやい」。思わず、ため息が漏れた。

 下記のサイトでベンチマークテストを行いました。
 http://www5.freeweb.ne.jp/novel/blueskyz/adsl/speed/index.htm
 ここで、大体、1.2Mbps程度は、出ることを確認した。
 概ね、妥当な速度のようである。

(9)その他

 フレッツADSLは、フレッツISDNと異なり、電話番号を利用しない。
 基本的にTCP/IPの設定が完了するとインターネットに接続できることになる。(不思議!)
 振り分けは、NTTで、パスワードの認証は、プロバイダ側で行われると思うが、この詳細は、私には、まだ、よく理解できていない。
 とにかく、電話番号は必要がない。
 その後、メールの設定を変更した。これは、普通は、必要ないはずであるが、当方は、何度も書いているようにプロキシサーバを利用していたため必要になったわけである。