2020年2月のご挨拶

Windows 7から10への移行

目次

(1)はじめに
 Windows10のバージョン
 買換かアップグレードか
(2)Windows10の予備知識
 外付けHDの準備
 OneDriveとは
 ローカルアカウント
 マイクロソフトアカウント
 ローカルとマイクロソフトアカウントの選択は
(3)移行元データ等の確認
 移行元の概要
 移行元データ等のコピー
(4)移行先PCの設定
 移行先の概要
 設定の概要
(5)データ等の移行
(6)補足
 日本語辞書(MS-IME)
 日本語辞書(ATOK)
 ファイル履歴機能の重要な注意点
 OneDrive利用の停止・禁止
(7)資料編
 説明書(サンプル)
 FastCopy利用のバッチファイル
(8)終わりにあたって

(1)はじめに

Windows 10のバージョン

「振り返ると、2016年5月のご挨拶で『Windows10へのアップグレードとその利用』という記事を書いてから、10を使っている期間が3年半以上となった。その際の記事では、自分のPCをWindows 8.1 Updateから10へバージョンアップした経験を書いた。今回は、2019年に複数の方のWindows7のPCを新しい10のPCに移行させていただいた経験を踏まえて記載してみようと思う」

「とうとう、7に対するマイクロソフトのサポートが2020年1月半ばで切れてしまったものね。Windows7は、2009年10月の発売だったので、約10年経ったと言うことになる。

ちなみに、Windows 8は、2012年10月、同8.1は、2013年10月(無料バージョンアップ)、そして、問題の10は、2015年7月(プリインストール機は、同年8月)に発売された。ただ、10は、それまでと違って、約半年に1回のメジャーバージョンアップが行われていて、10の中でも、バージョンが分かれているのよね」

「ともちゃん、今年もよろしくお願いしますよ。10のバージョンのそこが分かりにくい点でもある。10のPCのバージョンは、『設定』→『システム』→左ペインの『バージョン情報』とたどることで分かる。

上の図がそれだな。ここでは、バージョンが1903であることが読み取れる」

「1903は、2019年5月にリリースされたバージョンね。たくさんに増えてしまっているので、下の表に整理してみたよ。10のエディションは、Home及びProの場合。大きな組織向けのボリュームライセンスでは、下の表とは、少し異なる場合があるので注意してね。

 バージョン リリース日  通称  サポート期限  開発ネームの略
1507 2015/7/29 初期バージョン 2017/5/9 TH1
1511 2015/11/10  ノーベンバー Update 2017/10/10 TH2
1607 2016/8/2 アニバーサリー Update 2018/4/10 RS1
1703 2017/4/5 クリエイター Update 2018/10/9  RS2
1709 2017/10/17  フォール・クリエイター Update  2019/4/9 RS3
1803 2018/4/30  エイプリル 2018 Update  2019/11/12  RS4
1809 2018/11/13  オクトーバー 2018 Update  2020/11/11 RS5
1903 2019/5/21  メイ 2019 Update  2020/12/8 19H1
1909 2019/11/12  ノーベンバー 2019 Update  2021/5/11 19H2
2004 2020/5/27  May 2020 Update  2021/12/14  20H1 
20H2 2020/10/20  October 2020 Update  2022/5/10  20H2 
21H1 2021/5/18  May 2021 Update  2022/12/13  21H1 
21H2 2021/11/16  November 2021 Update  2023/6/13  21H2 
22H2 2022/10/18  2022 Update 2024/5/14 22H2

下記を参考にしました。(表を2022/11/25更新)
 ※ 『Microsoft Lifecycle Policy
https://support.microsoft.com/en-us/hub/4095338/microsoft-lifecycle-policy
 ※ 『PC設定のカルマ
https://pc-karuma.net/windows-10-version/
 ※ 『Microsoft Windows 10』(ウィキペディア)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Microsoft_Windows_10」

「なるほど。RS1とかは、リリースとかの英語から来ているのではなく、Redstoneなど、開発ネームの略だったのじゃな。それと、リリースされてから約1年半でサポートが切れていくというのも、はっきりとは、意識してこなかったのう」

「えーと、リリースされても、毎月のWindows Updateで直ちに適用されるのではなく、遅れて適用される場合もある。

あと、Windows 7ユーザーの方向けには、マイクロソフトの『Windows 7のサポートが終了』の下記ページが役に立つでしょ。ちょっと翻訳調が残るけど『Windows 7のサポート終了およびOffice』のリンクでは、365のサポートが2023年1月まで続けられるという記事もあって参考になるわね。
※『Windows 7のサポートが終了
https://www.microsoft.com/ja-jp/windows/windows-7-end-of-life-support-information
※『Windows 7のサポート終了およびOffice
https://support.office.com/ja-jp/article/windows-7-のサポート終了および-office-78f20fab-b57b-44d7-8368-06a8493f3cb9?ui=ja-JP&rs=ja-JP&ad=JP」
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買換かアップグレードか

「ま、Windows 8が2012/10に発売になったので、通常の7のプリインストール機は、その時期から出荷されなくなったと考えると、すでに約7年以上使われている計算になるのう。7年というと、ほぼ、PCの耐用年数に達していると思うので、PCの故障で大切なデータを失う前に早めの買い換えがベストじゃろう。同じPCのまま、OSのみを10にアップグレードするのは、故障のリスクが大きすぎる。

一方、お手持ちの製品が、8や8.1のダウングレード版で、7がプリインストールされていたPCであれば、3~5年程度の利用期間の方もいらっしゃるかもしれない。8.1は、まだ、サポート期間中なので、しばらくの間、8を再インストールしてまかなうことも可能だろう。この場合、追加費用は、かからないが、手間がかかる。製品付属の再セットアップ説明書等を熟読して、データ等のバックアップを外付けのHD等にしっかりと作成した上で慎重に作業する必要がある」

「なるほど。8.1 Updateの記事は、2014年5月のご挨拶『Windows 8.1のインストールとHyper-Vの利用』に詳しいわ。

※ 上図は、8.1 Updateのスタート画面
10のUI(ユーザーインターフェース)と比べると、8や8.1は、10への試行版という感じが残るけどね。たとえば、スタートボタンの機能が標準では、提供されていないので、フリーソフトや有料ソフトをインストールするか、あるいは、スタート画面にアプリのショートカットを並べるか、というあたりがね」

「Windows95以降、Windowsに連綿として受け継がれてきたスタートボタンがない唯一のOSが8/8.1となったことになる。ま、慣れてしまえば、そんなに気にならないが、10から8.1に戻るとスタートボタンがない残念感は、しっかりと感じるのう。上記の記事でもフリーのスタートメニューソフトをインストールして使う記事を書いている。

※上図は、当時のStartMenu8のスタートメニュー

なお、上記の2014年の記事では『StartMenu8』をフリーソフトと紹介しているが、今は、お試し期間を過ぎると、有料ライセンス(2500円+税/3台まで)などが必要となるので注意して欲しい(ベクターで購入可能)。フリーのスタートメニューソフトもある」

「結果論だけど、8は、短命のOSだったので、雑誌、参考書、インターネット上の情報量などが少ない点がデメリットね。下図は、当時の参考書ね」

「たしかにな。その点は、Me(ミレニアム:2000/9)やVISTA(ビスタ:2007/2)と似ているかな。8のダウングレード版の方が、もし7のお使いの期間が4~5年以上であれば、新しい10のPCに乗り換える方がよいじゃろう。組織では、一部の機種が8で残りが10と分かれると管理が面倒になるしのう」
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(2)Windows10の予備知識

外付けHDの準備

「以下では、移行元の7のPCのエディションは、HomeまたはProであり、Office2010または2013などがインストールされているとしよう。また、メールソフトは、Windows Liveメール(『WLM』という)を利用している。ただし、WLMからOutlookへの移行は、すでに既述の記事があったな」

「たしかに。WLMからのOutlookへのメールの移行について、2017年2月の『Windows LiveメールからOutlookへ』で扱っているからね。そちらを参考にしてくださいな」

「まずは、外付けのHDを用意していただくことかの。データが少ない方は、32GB~64GB程度のUSBメモリーやSDカードでも可能じゃが、新PCの運用を考えると、USB接続の外付けHDがあると便利で、10へ移行後も無駄にならない。7のPCのデータ量とHDの価格(1TBのもので8千円程度。2019/秋)を考慮して、この際、購入を検討して欲しい。(3)以降では、外付けHDを利用している」
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OneDriveとは

「マイクロソフトさんの記事によれば、移行には、OneDriveを利用する方法もあるとのことね」

「OneDriveというのは、マイクロソフト社から8以降で提供されているインターネット上の(個人ごとの)記憶領域を利用するためのアプリ、または、その記憶領域のことじゃ。利用するには、『マイクロソフトアカウント』が必要となる。なお、無料で利用できる容量は、5GBまでとなる。(2022/11現在)

ただし、Microsoft 365サブスクリプション(定額サービス)を利用すると、例えば、Personal(以前は、soloと呼称。1名のユーザーの使用する複数のPCで最新の機能を利用可能)では、1TB(=1000GB)まで利用できる。Familyでは、1名あたり1TB、合計6名まで利用可能)

OneDriveを利用して移行するには、7用のOneDriveアプリをマイクロソフトのページからダウンロードしてPCにインストールする必要がある。これにより、前述の容量の制約は、あるものの、外付けHD等を使わずに7のPCのデータを10の新PCに移行出来る。ただし、10のPCでOneDriveを快適に使うためには、以下に述べるOneDriveの二つの特性をよく理解しておく必要があるじゃろう。

一つ目は、デスクトップとノートパソコンなど複数のPCを持っている場合、OneDriveを利用している両者のデータが同期される点だ。同期とコピーとは、異なる動作であることに注意が必要で、OneDriveを単なるファイルサーバーの一種ととらえていると足をすくわれる」


 

「なるほど。OneDriveを利用すると、これまであった、C:\Users\ユーザー名配下のドキュメント等のフォルダやその中のデータがC:\Users\ユーザー名\OneDriveの配下に移動してしまうのね」

「そうじゃ。その後、インターネット上のマイクロソフトのサーバーに移動またはコピーされる。この間の動きを下図に示した」

 

「Officeでの保存時の用語も次のように変化するわ。『名前を付けて保存』→『コピーを保存』、『上書き保存』→『保存』」

「OneDrive利用時、OneDriveを利用するデータは、常にOneDriveに保存され、別の場所に保存する場合は、そのコピーを保存するという意味を明確に示している用語じゃな。

二つ目は、PCが1台しかなくても、PCの内部記憶装置の容量不足を部分的、あるいは、ほぼ全面的に補うことができる点だ。タブレットタイプのPCで内部記憶容量が少なくても、OneDriveで、5GB~1TBまで使えれば、利用者にもよるが、十分かもしれない。一方、当然ながら、インターネットに接続できないとPCを起動することは可能なものの、保存したデータには、アクセスできなくなる」

「二つ目の特徴は、分かりやすいわね。自宅と勤務先などにPCが離れてあるとき、自宅で会社での作業を続けるとしたら、USBメモリーで必要なファイルを持ち帰るか、インターネットの特定のサービスを利用して、あらかじめ、インターネットにアップロードしておく必要がある。OneDriveを使うと、その手間が不要なだけでなく、USBメモリーを落としたり、落としたメモリーからデータ流出を招いたり等の不祥事の防止にもなるのは、大きなメリットね。

それに今年、2020年は、オリンピックイヤーで、その交通混雑緩和や最近叫ばれている働き方改革のための『在宅勤務』、『移動オフィス』などにもOneDriveは、役立ちそうね」
※新型コロナウイルス感染症の影響で、オリンピックは、まさかの2021年に延期となった。しかし、皮肉にも、そのコロナ対策のため、在宅勤務、テレビ会議や遠隔診療の必要性が急速に高まっている。(2020/4/12追記)

「たしかにな。個人や個人経営の店であれば、それでよいかも知れないが、組織では、データを組織外で閲覧したり、編集したりできるのは、どんなものか、という疑問も出てくるだろう」

「えーと、PCに『マイクロソフトアカウント』を使わずに『ローカルアカウント』でサインインしてもらえば、いいだけなんじゃないの?」

「そこは、少し違うのだな。10では、ローカルアカウントでサインインしても、利用者がマイクロソフトアカウントを持っていれば、OneDriveを利用できる。利用者の意思にかかわらず、禁止を徹底したい場合は、別途、方策(補足参照)が必要だ。

一方、OneDriveを会社などの組織で活用したい場合は、Office 365 Businessというものがあるので、そちらを検討して欲しい。どのようなプランがあるか、具体的にどのように展開して利用するかについて、下記のサイトなどが参考になるが、本稿では、これ以上、取り上げないことにしよう。
※『Office 365』は、2020/4/22より、『Microsoft 365』に名称が変更されます。
※『Office 365 solo』や『同Business』も『Microsoft 365 Personal』や『Business』と改称されます。(2020/4/18追記)

『一般法人向け Microsoft 365』
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/business
『OneDrive for Businessとは?展開方法を考えた結果のまとめ』
https://miya1beginner.com/how-to-use-onedrive-for-business

さて、ここで出てきた『マイクロソフトアカウント』は、『サインイン』、『サインアウト』という新用語と一緒にWindows8の時に登場したんじゃった。いきなりだったので、戸惑ったことを思い出すのう。次節以降では、それらの違いから説明しよう。

※ユーザーID、パスワード、サインインなどの概念は、『パスワードの作り方』(2019/4のご挨拶)の中で詳しく解説しています。

OneDriveに関するマイクロソフトのWebページを追記しました。2020/2/5
※ Windows10は、既定でOneDriveにファイルを保存する』のマイクロソフトのページは、下記の通りです。
https://support.office.com/ja-jp/article/windows-10-は既定で-onedrive-にファイルを保存する-33da0077-770c-4bda-b61e-8c8e8ca70ac7
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ローカルアカウント

「『ローカルアカウント』というのは、個別のPCに登録するユーザーアカウントのことね。少なくとも一つのローカルアカウントがないとPCを使うことは、できないわよ。

前節では、『ユーザー名』と書いてあるんだけど、本当は、『ユーザーアカウント』(の文字列)のことなの。皆さまの中には、ユーザーアカウントを登録した記憶がないとおっしゃる方もいるかも知れないわね。たいていは、PCの初期設定時、ユーザー名を聞いてくるので、そこで入力した名前が(管理者権限の)ユーザーアカウントとして使われるのね」

「そうじゃな。メーカーや機種によっては、ユーザーアカウントを聞くときに、お仕着せのPCuserなどを提示して、利用者が『次へ』ボタンを押した場合は、その名称がユーザーアカウントとして採用されることもあるかも知れない。

また、PC名(コンピューター名)は、10になってから、聞いてこない場合も多く、メーカー名や品番、ランダムな数字などを組み合わせて自動的に作られることが多いようだ。アカウント名やPC名が気に入らない場合は、変更可能だ。

ユーザーアカウントとは別に、Administratorという管理者アカウントが隠しアカウントとしてあり、昔は、ユーザーアカウントのパスワードが不明でも、セーフモードで(Administratorにパスワードがなければ)利用できたこともあったと記憶している。

10では、Administratorは、存在しているが、通常、無効になっている。このため、利用者が登録したユーザーアカウントとパスワードが分からないと、PCの電源が入ってもサインインができなくなってしまうので、一大事だな。
※10のパスワードが不明の場合の裏技については、2017/9公開の下記のページがありました。
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1312/06/news055.html」

「10では、『セーフモード』は、なくなったんじゃないの?」

「いや、10でもPCの起動に必要な最低限のデバイス以外を無効にするセーフモードは、ある。セーフモードの起動は、次の通りだ。

10の設定⇒回復→PCの起動をカスタマイズ→今すぐ再起動するボタン→オプションの選択→トラブルシューティング→詳細オプション→スタートアップ設定→再起動ボタン→スタートアップ設定画面の該当の数字キー(セーフモードは4)を入力、という長い手順だ。

7までは、電源投入時にF8キーを連打することでセーフモードに入れたが、10では、それは、できなくなった。とは言え、上の流れは、PCが起動できて、サインインが可能な場合の手順なので、そもそも、起動できないときやパスワードが不明でサインインができないときは、回復画面にたどり着けない。

Windowsの起動が失敗した場合、内部記憶装置内に収納されている回復機能が立ち上がる場合もある。しかし、必要なシーンを想定して、あらかじめ、『回復ドライブ』をUSBメモリー(32GB以上)に作成しておくとよい。再セットアップ用のDVD(付属している場合。最近は、添付されないケースが多い)、他の10のPCの回復ドライブも利用可能だ。回復ドライブは、Windowsのメジャーアップデートの影響を考慮して、年に1回程度、作成し直しておくと、さらによいじゃろう」

「なるほど。『回復ドライブ』は、10のコントロールパネルの『回復』から作成できるわね。

でも、回復ドライブがあっても、パスワードが不明だとそこから先へ進めないの。だから、パスワードを書き留めておくことは、当然だけど、事前に『パスワードリセットディスク』を作成しておくとさらに安心よ。これは、1回だけ作成しておけば、以後、ユーザーアカウントのパスワードを変更したとしても使えるものなの。

通常のサインイン画面や回復の画面からパスワードを入力する代わりとして、『パスワードリセットディスク』を読み込ませればいいのね。なお、ディスクという名前が付いているけどUSBメモリーなの。その作り方は、コントロールパネルの『ユーザーアカウント』で『パスワードリセットディスクの作成』から行ってくださいな」

「ところで、同じPCに複数のユーザーアカウントを登録できることをご存じない方は、少なくなったのう。そもそも、ユーザーアカウントを多くの方が意識し始めたのは、アカウント毎に『マイドキュメント』、『マイピクチャ』などがPC内に用意されたXP(2001/11)の頃じゃろう。

※上図は、XPのスタートメニュー

『マイドキュメント』の具体的な場所は、C:\Documents and Settings\ユーザー名\My Documents フォルダーだった。『Documents and Settings』があまりに長い名で、しかも、半角スペースが入るので、やっかいに感じたな。

XPからPCに初めて触れる利用者が多かったせいもあり、『マイドキュメント』、『マイコンピュータ』、『マイピクチャ』、『マイミュージック』等の名前が多くの方々の意識に強く定着した。

しかし、実は、XPの次のVISTA(2007/2)で『マイドキュメント』は、『ドキュメント』などに変わり、呼び名から、『マイ』が消えたのじゃった。

※上図は、VISTAのスタートメニュー

同様に、ユーザーアカウントを持つすべての利用者が使える共有ドキュメントは、XPで、C:\Documents and Settings\All users\Documents、がVISTAでは、C:\Users\Public\Documents、などに変わった。とは言え、XPからVISTAのリリースまで5年以上経過したため、VISTAになっても、『マイドキュメント』等の名前が口頭など使われる傾向が残り、7の時代まで尾を引いたと思う。

なお、上で出てきた『Public(パブリック)』は、現在サインインしていない人を含めてそのPCにローカルアカウントを持っている人という程度の意味で、ローカルアカウントを持たない人は、含まれない」

「でも、ネットワークにつながっているPCの場合は、他のPCの共有フォルダ等にアクセスできる場合もあるよね?」

「ローカルなネットワーク(LAN)につながっているPCのケースは、別の機会に取り上げよう。最近は、個人の方も、自宅等で複数のPCを有線や無線のネットワークにつないで利用するケースも増えている。そのため、ネットワーク環境でのPCの利用は、企業や学校などの組織限定の話では、なくなっているからのう」
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マイクロソフトアカウント

「そもそも、なぜ、マイクロソフト社が8以降、『マイクロソフトアカウント』を半ば強制的にPCユーザーに使わせたがるのかを考えてみよう。背景には、Googleの開発したOSであるAndroidを搭載したスマホやタブレットでは、Googleアカウントが必須なことがある。

このおかげで、Googleは、登録時の利用者の個人情報だけでなく、その後に追加したアプリ、アプリの利用方法、そして、モバイル端末の位置情報等を収集できる。これにより、利用者にフィットする広告や消費者の動向調査を行うことが可能となった。そうして得た膨大なデータを自社サービスだけでなく、通販業者等の第3者にも提供する新しいビジネスを創出した。

一方、WindowsのPCでは、インターネットが使われるようになっても、マイクロソフト社への明示的なユーザー登録は、必要ではなく、初期には、そもそも、そのような仕組みがなかった。たとえば、Windows2000までは、シリアル番号以外の認証(アクティベーション)がなかった。インターネットでの認証が必須になったのは、インターネットが普及してきたXP以降だった。それでも、ユーザーの詳細情報を要求されることは、なかったな」

「でも、MSNのHotmailやWindows Live IDなんかがあったでしょう?」

「ともちゃんや、よう知ってはりますな。マイクロソフト社の思惑としては、フリーのメールアドレスの提供と引き換えに、利用者の情報を得たいということじゃったと思う。しかし、ヤフージャパンが始めたヤフーメールなどと競合した。ヤフーは、取得したメールアドレスをそのまま『ヤフージャパンID』として使える利点を生かして、ヤフーショッピングやオークションなどで有効にしてユーザーを増やした。結果的にHotmailの利用は、低迷していった。

また、Windows Live IDは、7で提供されていたHotmailやウイルス対策ソフトWindows Defenderなどの利用のためのIDだったと思う。これが10のマイクロソフトアカウントの前身となるものじゃな。

2000年代に入ると、インターネットショッピングの急拡大の他、SNS、動画投稿サイトなどの新サービスが登場した。また、そこにスマートフォン(iPhone:日本発売、2008年、Android:日本発売2009年)も加わって、マイクロソフト社の競争相手は、長年のライバルであるApple社だけでなく、Google、Amazon、FaceBook、Youtubeなどに広がっているのじゃ」

「つまり、マイクロソフト社は、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)に代表される新しいプレーヤーに対抗するための道具として、マイクロソフトアカウントを使いたいということなのね」

「そういうことじゃ。しかし、スマホとPCは、少し、事情が異なる点があるじゃろう。それは、スマホは、たいていは、個人のものだが、PCは、組織でも使われていることだな。なので、マイクロソフト社もPCのアカウントをマイクロソフトアカウントのみにはできなかったのじゃ。そのためマイクロソフトアカウントを使うメリットを増やして、できるだけユーザーに利用を促しているのだと思う」

「そいつが、前節で取り上げたOneDriveなどを使うと複数のPCで同じデータを同期できるというメリットね」

「そう。それと、マイクロソフト社自身が販売している『Surface』などの軽量タブレット/ノートPCでは、これまでのノートPCで重くなる原因であったハードディスクや光ドライブの搭載を止めて、ディスプレイ、キーボード、カメラ、スピーカー、CPU、メモリー、半導体ディスク(SSD)などで構成した。こういう機種では、内部記憶容量を補うOneDriveは、魅力的なソリューションと考えているのじゃろう」

「なるほど。スマホの写真アルバムやカレンダー機能などを使っているうちに、私たちも、だんだんと、データがどこに保存されているか、その場所は、ローカルなのか、あるいは、クラウドなのかということに関心が薄らいできていることもありそうね」

「そうだな。元々、PCでも、場所、すなわち、ドライブやフォルダは、利用者、特にご年輩のみなさんには、とっつきにくい。わしもPC教室をやっていた頃、Officeなどのアプリの『名前を付けて保存』には、『名前を変えて同じ場所に保存』、『名前を変えて別の場所に保存』、『同じ名前のまま別の場所に保存』という3つの用途があると言う説明に苦労した。

2~3割ほどのみなさんには、どうしても、『場所』の概念を明確には、ご理解いただけなかったと思うのが残念だ。まあ、Windows95の時代のようにフロッピーディスクしかなかった頃と比較して、ハードディスクやネットワークドライブの『フォルダ』は、目に見えない概念的なのものだからな。人は、手で触れたり、目で見える物以外を理解しにくい、ということをあらためて痛感したのう」
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ローカルとマイクロソフトアカウントの選択は

「まとめると、この2つのアカウントとOneDriveの組み合わせは、次の表のようになるのではないかと思うわ。えーと、それから、備考欄のOneDriveの容量は、2020/1現在のもの。また、Microsoft 365の例は、Personalコースの場合なので、注意してくださいな」

番号 主な目的 マイクロソフトアカウント OneDrive 備考
1 データの同期・共有 利用する 利用する 複数のPCあり、無料:5GB、Microsoft 365利用で1TB~
2 データのバックアップ 利用する 利用する 無料:5GB、Microsoft 365利用で1TB~
3 内部記憶装置の補強 利用する 利用する 無料:5GB、Microsoft 365利用で1TB~
4 データの同期をしたくない 利用する 利用しない  Microsoft 365のみ利用、複数のPCあり、他の外部記憶装置がある
5 OneDriveのみ利用したい 半分利用する 利用する OneDriveでは、マイクロソフトアカウント利用
6 重要データ流出懸念 利用しない 利用しない  外部記憶装置がある

「断るまでもないじゃろうが、上の表は、あくまでも一つの目安にすぎん。対象は、個人のPC、非ドメイン環境の複数のPCを考えている。なお、様々な考え方があると思うので、そのあたりは、各自、各組織の責任でご判断ください。

なお、データの流出等の懸念に応えるために、OneDriveの中に『Vault』(金庫室、貯蔵室)という個人用データの保存フォルダを置くことができるようになった。スマホ等の他の個人認証を利用することでセキュリティの向上を狙っている。詳しくは、下記をご参照ください」
https://onedrive.live.com/about/personal-vault/
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(3)移行元のデータ等の保存

移行元の概要

移行元となる7のPCのデータ等を外付けHDに保存します。(本節以降、簡潔にするため、ともちゃんとの対話を省略)。
  PC:メーカー名 機種名・型番(製造番号=○○○、2010年×月購入)
  OS:Windows 7 Professional SP1(32ビット版)(2013年にXPから7に変更)
  CPU:インテル Core 2 Duo E7500(2.93GHz)(インテルVT対応)
  メモリー:2GB(2GB×1:PC2-6400 DDR2 SDRAM)、
  ハードディスク:160GB×1(シリアルATA)
  光ドライブ:CD-R/RW、DVD-R/RW(2層書込対応)
  ネットワーク:1Gビット/秒、キーボード:109日本語キーボード
  マウス:ホイール付き光マウス、USB接続口:前面×2、背面×4個所
  保証:3年間持ち込み修理、リサイクルマーク付き
  Office Personal 2010 プリインストール
 その他:プリンタ(型番)、

アプリの利用状況
 ユーザー名、
 メール:Windows Liveメール2011、
 メールの設定画面のコピーをSnippingツールを利用してピクチャ等に保存
 ブラウザ:インターネットエクスプローラ
 住所録:□□
 ウイルス対策:××
 Office2010 Personal
 その他:スタートメニューの画像をピクチャ等に保存
 プリンターの使用状況:メーカー名と機種名、接続方法
 インターネットとの接続:光、ADSL、ケーブルTV等の別、パスワード等の設定資料の確認
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移行元データ等のコピー

データコピー前にアプリ専用のバックアップ等を行う。適切な名前の専用フォルダを作成する。
 WLM:メールデータのエクスポート、アドレス帳のエクスポート、メールアカウントのエクスポート
 (メールの移行は、冒頭の記事を参照)

住所録:アプリ専用のバックアップ機能があるものは、それを使って、住所録、レイアウトのバックアップを行う。

日本語辞書のMS-IMEで単語登録を行っていた場合は、テキストファイルに出力しておきます。
 方法は、言語バーのツールからユーザー辞書ツールを起動、ツールメニューから一覧の出力、先の専用フォルダに保存。

日本語入力がATOKの場合は、スタート⇒ATOK→ATOKツール→バックアップツール、を起動して、オプションから、すべて、または、学習情報のみのいずれかを選択して、専用フォルダにバックアップする。

上記の作業は、他のアプリでも必要なものについて行う。
 ついで、外付けHDに、C:\Users\ユーザー名\以下とC:\users\Public以下をコピーする。
 ※隠しフォルダやファイル、システムフォルダもコピーする。また、先に作成した専用フォルダもコピーしておく。
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(4)移行先PCの設定

移行先の概要

PC:型番(製造番号=□□、2019年×月購入)
  OS:Windows 10 Home (64ビット版、バージョン1809)
  CPU:64ビット インテル Core i3-7100(3.9GHz)
  メモリー:4GB、
  内蔵記憶装置:SSD(250GB×1(シリアルATA接続))
  光ドライブ:DVD-ROM(読み込みのみ。書き込みは不可)
  ネットワーク:1Gビット/秒、キーボード:109日本語キーボード
  マウス:ホイール付き光マウス、
  USB:前面(USB2.0×2)、背面(USB3.0×4、USB2.0×2)※USB3.0は、2.0に比較して、30倍程度高速。
  保証:本体1年間持ち込み修理、部品3年、リサイクルマーク付き
  Office Personal 2019 プリインストール
  OS再インストール用DVD付属
 同時購入品:23.8インチワイドディスプレイ(色は黒)
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設定の概要

・ユーザー名:××・・・、
 ※半角英数字、スペースやアンダーバーなどの記号を含まず。
 ※可能ならば、7のPCと同一とすると分かりやすい。

・パスワードは、□□・・、
 ※PINは、必要に応じて設定する。
 ・マイクロソフトアカウントは、他PC等と共用しないこと、「OneDrive」を利用しないため、今回は、使用せず。
 ※後日、マイクロソフトアカウントを取得すれば、利用可能となります。

・PCの名前:MyPC10
 ※半角英数字。なお、スペースやアンダーバーなどの記号を含まず。
 ※今回は、単体利用だが、LAN上に他のPCがあるときは、重複しない名前とします。

PCのセキュリティに関する3個の質問と答え
「最初のペットの名前は?」⇒「なんとか」
「子供の頃のニックネームは?」⇒「かんとか」
「生まれた場所の名前は?」⇒「とんとこ」
※PCを初期化した際等に必要となる可能性があります。

Windows Update

ウイルス対策ソフトのインストールと認証
 シリアル番号:□□
 メールアドレス:××
 パスワード:⊿⊿、
 有効期限は、□□まで
 お客様番号:××

Office 2019 Personalのアクティベーション(認証)
 付属カード記載プロダクトキー:・・・・・・・・を入力
※別途、インターネットからダウンロードしないいけないケースもあります。
※プロダクトキーを書き留めてそのPCの廃棄まで保存しておいてください。

Word、Excel、Outlookの起動と確認
 ※Outlookのみ英語メニューとなってしまいましたが、マイクロソフトStoreから右上の「・・・」より、「ダウンロードと更新」を選択し、「最新情報取得する」を実行し、すべて更新することにより日本語メニューに戻りました。

システムやアプリの細かな設定変更等
・スタートメニューの右サイドによく使うアプリ等を「ピン止め」


・Edgeのスタート画面やホームボタンを7と同一とする。
・ 画面の拡大・縮小から、拡大率を125%に変更
・ スリープまでの時間を電源に接続時は禁止
・ 画面は、10分間何もしないと暗くなります。
・ シャットダウン時の高速スタートアップを無効

・ システムフォントを10のYuゴシックからWindows 7でご利用フォントに変更
 ちなみに、XPのときは、MS UI ゴシック、VISTAと7では、メイリオ、8/8.1では、Meirio UI、でした。
※ベクターからダウンロードさせてもらったフリーソフトは、『Windows10 フォントが汚いので一発変更!』。
 上記の4種類のフォントに変更できる。

・日本語入力ツールバーは、今回は、表示しない(既定)のままとする。
 表示したい場合は、設定→時刻と言語→右ペインの言語→常に既定として使用する入力方式を選択するのリンクをクリック、
 
 使用可能な場合にデスクトップ言語バーを表示するにチェック、これで表示される場合は、そのままで結構です。

言語バーが表示されない場合は、設定→個人用設定→右ペインのタスクバー→システムアイコンのオン/オフの切り替えのリンクをクリック、
 
 入力インジケーター(タスクバーの右端にA、または、あ、と表示して日本語モードを示すためのアイコン)のオン、オフを切り替えてみます。

それでも表示されない場合は、管理ツール→タスク スケジューラ→[表示] - [非表示になっているタスクを表示] にチェックを入れ、[タスク スケジューラ ライブラリ] → [Microsoft] - [TextServicesFramework] を選択し、[MsCtfMonitor] が [実行中] になっているか確認します。実行中でない場合、MsCtfMonitor を右クリックして [実行する] で実行中に変更できるか試します。 

要は、このサービスがPCの起動時(正確には、サインイン時)に他のプロセスと競合してサービスの開始に失敗し言語バーの表示ができないものと思われます。その際は、サインオフ(再起動ではありません)し、再度、サインインすれば、他の競合プロセスが少ないため、ほぼ、間違いなく、言語バーが表示されます。

しばしば、このような操作を行うのであれば、タスクスケジューラーで上記のサービスのプロパティを操作して、15秒~30秒程度遅延して実行させるように変更すれば、表示されるようになります。、

その他のアプリのインストール:7のPCのスタートメニューを参考に必要なアプリをインストール

外付けHDの接続
背面のUSB3.0接続口に接続、電源のOn/Offは、PCと連動します。

音量、光ドライブの動作確認

Windows回復ドライブの作成:USBメモリーに回復ドライブを作成しました。
※万一、PCが起動できない場合にUSBメモリーから起動し、復旧できる場合があります。なお、「再インストール用DVD」が付属していますので、そちらから起動できる場合もあります。
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(5)データ等の移行

ドキュメント:外付けHDのユーザー名\Documments内の内容を新PCの同様の場所にコピー
 ピクチャ:外付けHDのユーザー名\Picturesの内容を新PCの同様の場所にコピー
 デスクトップ:外付けHDのユーザー名\Desktopの内容を新PCの同様の場所にコピー
 ダウンロード:外付けHDのユーザー名\DownLoadの内容を新PCの同様の場所にコピー
 ミュージック:外付けHDのユーザー名\Musicの内容を新PCの同様の場所にコピー
 ビデオ:外付けHDのユーザー名\Videosの内容を新PCの同様の場所にコピー
 パブリック:外付けHDのPublicの内容を新PCの同様の場所にコピー

お気に入り
 Windows 10では、標準のブラウザがEdge(エッジ)のため、お気に入りを新PCのお気に入りにコピー
 Edgeでインポート

メール
 7で利用していた「Windows Liveメール」は、2017/1/10でマイクロソフトのサポートが終了済みのため、10では、「Outlook 2019」を利用します。これに伴い、旧PCのWLMのメールデータとアドレス帳を移行しました。移行後、送受信テストを行い、正常に動作することを確認しました。署名と新規メール等の書式を設定しました。
 なお、メールのアカウント、パスワード等を以下に記載します。
 ※メールアドレス、パスワード等の旧PCからの変更は、ありません。
 既定のメールアドレス
  アドレス:
  パスワード:
  アカウント:
  受信メールサーバー:××番ポート
  送信メールサーバー:○○番ポート、SSL対応
  送信メールのパスワードは、受信メールと同一。

取扱説明書と保証書等
 本体の取扱説明書は、インターネット上のメーカーサイトからダウンロードして、ドキュメントに保存しました。
 本体の保証は、前述の製造番号により管理されているため、保証書は、添付されていません。
 故障が疑われる場合は、まずは、ご相談ください。
 それができない場合、直接、メーカーに修理を依頼することも可能です。

ディスプレイの取扱説明書は、添付の通りです。
 納品書は、取扱説明書とともに保管してください。

Windows Update(1809から1903へ)
 Windows 10の大型アップデートにより、2019/5/27にバージョン1903にアップデートされました。
 大型のアップデートは、概ね、半年ごとに自動的に行われます。

外付けHDへデータコピー
 7のものと本質的には、同一の機能です。
 ただし、フォルダ名をNewPC10にしました。
 FastCopyを使用したデータを差分コピーするバッチファイルを作成し、ドキュメントに入れてあります。
 また、デスクトップ上にショートカットを作成しましたので、ショートカットをダブルクリックすると、外付けHDのNewPC10フォルダに、ドキュメント、ピクチャ等をコピーします。ただし、ファイル名、日付、サイズが完全に同一のファイルがある場合は、コピーされません。また、存在しないサブフォルダは、新規作成されます。

プリンタとの接続
 プリンタドライバをインストールし、テストページを印刷しました。
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(6)補足

日本語辞書(MS-IME)

MS-IMEでは、7のPCで自動学習した辞書データを10のMS-IMEに移行できないようです。ただし、ユーザーが自分で登録した単語については、前述のようにテキストファイルに出力しておけば、ユーザー辞書ツールからツールメニューのテキストファイルからの登録を行うことにより移行できます。詳細は、下記のページに掲載されています。
『初心者のためのOffice講座』
https://hamachan.info/win10/ime/tango.html
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日本語辞書(ATOK)

日本語入力がATOKの場合は、前述のように設定等のバックアップを取っている場合は、スタート⇒ATOK→ATOKツール→バックアップツール、を起動して、専用フォルダのバックアップから復元するのがベストな方法のようです。

ただし、移行元と移行先が同じATOKのバージョン、たとえば、ATOK31ならば、
外付けのHDのUsers\ユーザー名\AppData\Roaming\Justsystem\Atok31内のATOK31U1.DIC~ATOK31U4.DICを新しいPCの同名の場所に上書きコピーすることで、学習した結果は、反映できました。ただし、変換設定などは、この方法では、移行できません。なお、操作前に、エクスプローラーの表示タブから、隠しファイルとファイル名拡張子の両方にチェックを入れておきます。
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ファイル履歴機能の重要な注意点

Windows10 の「ファイル履歴」を利用して外付けHDにデータのバックアップを行うことができます。既定では、ドキュメント、ピクチャ、デスクトップ、ダウンロード等です。「ファイル履歴」を使ったバックアップは、PC稼働時、定期的に時系列的に継続して保存されます。同一の場所の同名のファイルでも過去の時点にさかのぼって復活させることができるメリットがあります。しかし、次に述べるファイルの「疑似同名」問題に注意する必要があります。

現段階(2020/2)では、ファイルのバックアップを『ファイル履歴』機能にあまり頼らずに、OneDriveの利用なり、外付けHDにデータの定期的なバックアップを行うなりするように強くお勧めします。

なお、疑似同名ファイルを相互に見分けられない問題は、『ファイル履歴』機能の話であり、Windows10のファイルシステム上では、疑似同名ファイルは、別名のファイルとして、認識されています。それゆえ、『疑似同名』問題には、より、注意を払う必要があります。

さて、『疑似同名』があるとどのような影響があるかというと、「ファイル履歴」のバックアップ機能が当該ファイルを含むフォルダ(またはサブフォルダ)全体で停止したままになります。困ったことに表立った警告が表示されません。ただし、イベントビューアーには、後述のようにエラー記録が残ります。

上の赤字の個所をもう少し具体的に説明します。たとえば、ドキュメントフォルダ直下に1000個のファイルがあるとします。この1000個のファイルに、たった1組の疑似同名ファイル(例:Wordの『朝トレ.docx』と『朝とれ.docx』)が含まれているだけで、ドキュメントフォルダ直下の1000個の(2個ではなく)ファイルのバックアップが停止、あるいは、ファイル履歴の初回の起動時であれば、まったくバックアップされません。バックアップ機能において、このことが、どれほど深刻な問題か、ご理解いただけるものと思います。

なお、ドキュメントにサブフォルダが含まれている場合、たとえば、A~Zまでの26個のサブフォルダがあるとします。この際、Aのサブフォルダに疑似同名ファイルの組があり、かつ、残りのB~Zまでの25個のサブフォルダには、疑似同名ファイルの組がない時は、Aのサブフォルダのみバックアップが停止または初回であれば、実行されず、B~Zのサブフォルダのバックアップは、実行されます。すなわち、疑似同名は、他のサブフォルダへは影響を与えません。このことを利用して、エラーを起こす疑似同名ファイルの組を見つける作業を比較的、効率的に行うことができます。(青字個所:2020/2/3、2/10追記・編集)

イベントエラーについて触れます。ファイル履歴が正しく実行されているか否かは、イベントビューアーにて、下記の項目を開いてご覧いただくと分かります。
 コントロールパネル⇒管理ツール⇒イベントビューアー⇒アプリケーションとサービスのログ⇒Microsoft⇒Windows⇒FileHistry-Engine⇒ファイル履歴のバックアップログ、


 ここに当日の内容に赤い○とエラーと表示されている個所があるときは、選択します。「・・・バックアップが実行できません」とある場合は、「疑似同名」のファイルが存在します。エラーという表示がない場合、あっても過去の日時の場合は、正常に実行されています。

「疑似同名」と見なされるのは、次のようなファイル名です。

例1:「枕草子201912月」、「枕草子201912月」、「枕草子201912月」、「枕草子201912月」など。
 ファイル履歴が数字の全角半角を区別しないため「疑似同名」となります。

例2:「朝トレ○○」、「朝とれ○○」、「朝○○」、「朝○○」
 ファイル履歴が全角カタカナ全角ひらがなとを区別しないため「疑似同名」となります。

例3:「○○」、「○○A
 ファイル履歴が英字の全角と半角を区別しないため「疑似同名」となります。
 ちなみに、Windowsは、英字の大文字と小文字を区別しないため、半角英字の「○○A」と「○○a」、全角英字の「○○A」と「○○a」は、疑似同名ではなく、同名と見なされ、上書きの警告が表示されます。

例4:「○○(1)」、「○○1」などの全角()と半角()
 ファイル履歴が
記号の全角と半角を区別しないため「疑似同名」となります。また、かっこ以外にもスペースの全角と半角を使った:「○○ 1」と「○○ 1」等もすべて「疑似同名」です。

「疑似同名」を避けるために、すべてのファイル名を付ける際、英数字は、半角に、スペースを含めて記号は、使わず、やむを得ず、スペース以外の記号を使う場合は、全角文字を使います。ひらがなとカタカナは、単語の慣用表現に従って、いずれか片方のみを使用してください。(例:トレーニングを使い、とれーにんぐは使わない)

英数字を半角にする簡単な方法
○○ABC20191212
英数字部分は、入力後にF10キーを押すとすべて半角となります。数字だけであれば、日本語入力の設定によりますが、テンキーから入力して確定すれば、半角としておくと便利です。

数字+年月日やかっこ付き数字を入れたい場合
○○2019年12月12日(1)
数字は、テンキーから入力し確定、()は、F9キーを押して全角とします。数字や()など全角半角双方があるものを変換すると全半いずれにも変換されますので注意します。

ひらがなとカタカナの使い分け
カタカナ語は、カタカナを使い、漢字やひらがなで書く言葉は、漢字やひらがなを使います。
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OneDrive利用の停止・禁止

OneDriveの利用を停止するには、下記のマイクロソフトのページに従い、OneDriveとのリンクを解除します。
OneDriveをオフにするか、無効にするか、アンインストールする』のマイクロソフトのページは、下記の通りです。
https://support.office.com/ja-jp/article/onedrive-をオフにするか、無効にするか、アンインストールする-f32a17ce-3336-40fe-9c38-6efb09f944b0

禁止する場合は、PCのローカルグループポリシーでOneDriveの利用を禁止することもできます。スタートを右クリックして、検索にて、『グループポリシー』で検索すると『グループポリシーの編集』が見つかります。なお、ドメイン環境では、ドメインコントローラーにて、ドメイングループポリシーで設定することにより、ドメイン内のPCに対して禁止を適用することができます。
ローカルグループポリシーの設定




 上の2番目のダイアログボックスで未定義の状態を有効に、また、Windows8.1では、その下の項目も有効にしてから、PCを再起動します。これで、OneDriveは、タスクバーやスタートメニュー、エクスプローラーから消えます。

ただし、当方でテストしてみると、ローカルアカウントでPCにサインインしている状態でも、Microsoft 365のアプリ起動時にマイクロソフトアカウントでアプリにサインインすると、Office上の保存や開くにおいて、OneDriveへのアクセスが可能でした。これは、OfficeがOneDriveアプリではないため、グループポリシーで禁止できないからと思われます。

グループ゜ポリシーについては、下記ページを参考にしました。
『Windows 7/8.1/10でOneDriveを無効にする』
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1606/27/news036.html
(2020/2/5追記)
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(7)資料編

説明書(サンプル)

以下は、Windows10初心者向けの簡易な説明書のサンプル(ひな形)です。ご参考にしていただければと思います。
 『Windows 10 はじめにお読みください』(PDF形式)
 『Windows 10 トラブル解決編』(PDF形式)
 ※ 上記は、『自作もの』にも追加してあります。内容の変更が必要な方は、元のPowerPoint文書を自作ものより、ダウンロードしてお使いください。改変自由です。
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FastCopy利用のバッチファイル

フリーソフトの『FastCopy』(白水啓章氏:https://fastcopy.jp/)を利用して、C:\Users\ユーザー名\Documents、等を外付けHD(ここでは、Eドライブ)のNewPC10フォルダにコピーするバッチファイルです。

メモ帳等で、『ユーザー名』、『E:\NewPC10』、『Outlookデータ』をご自身の環境に合わせて置き換えた後に、分かりやすい名前で保存します。その後、拡張子をtxtからbatに変えて、適宜、手動で実行するか、または、タスクスケジューラーに登録して自動実行します。自動の場合は、実行のタイミングは、サインイン時がよいと思います。※念のため、最初に手動実行して、外付けHDに正しくコピーされるかをご確認ください。

REM 120秒待ちます・・・
timeout /T 120
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff C:\Users\ユーザー名\Documents /to="E:\NewPc10\documents"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff C:\Users\ユーザー名\Contacts /to="E:\NewPc10\contacts"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff C:\Users\ユーザー名\Favorites /to="E:\NewPc10\favarites"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff C:\Users\ユーザー名\Downloads /to="E:\NewPc10\downloads"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff c:\Users\ユーザー名\Desktop /to="E:\NewPc10\desktop"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff c:\Users\ユーザー名\Pictures /to="E:\NewPc10\pictures"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff c:\Users\ユーザー名\Videos /to="E:\NewPc10\videos"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff c:\Users\ユーザー名\Music /to="E:\NewPc10\music"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=diff C:\Users\Public /to="E:\NewPc10\public"
"C:\Program Files\fastcopy\fastcopy.exe" /force_close /cmd=sync C:\Users\ユーザー名\Outlookデータ /to="E:\NewPc10\Outlookデータ"

上では、ドキュメント、ピクチャ、ダウンロード、お気に入り、デスクトップ、ビデオ、ミュージック、パブリック、『Outlookデータ』をコピーしています。『Outlookデータ』は、Outlookのデータが保存されているフォルダ(フォルダ名は、必ずしも同じではありません)です。

コピー方式は、Outlookデータは、『sync』(同期)、それ以外は、『diff』(追加コピー)となっています。

なお、バッチファイルの実行時に120秒の遅延を入れてあります。これは、自動実行の場合、PC起動時に他のプロセスの起動が終了してから実行したいがためですが、手動実行の場合は、エンターキー等を入力して、即実行させても差し支えありません。
※外付けHD側には、NewPC10のフォルダのみを作成しておきます。他のサブフォルダは、バッチファイル実行時に存在しない場合は、自動的に作成されます。
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(8)終わりにあたって

今回もご覧いただきありがとうございました。次回も、本欄で元気にお会いできますことを願っています。

Windows 7(SP1)は、2020年1月14日にマイクロソフト社のサポートが終了しました、また、Office 2010も、2020年10月13日にサポートが終了します。インターネットに接続してお使いの皆さまは、早めの更新をご検討ください。

※旧ドメインは、2017/6/1で閉鎖いたしました。お気に入り、スタートページ等の変更をお願い申し上げます。
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 作成日 2020/2/1
ファイル履歴の注意に追記 2020/2/3
OneDriveに関するサイトのページを追記 2020/2/5
OneDrive利用の停止・禁止方法を補足に追加 2020/2/5
文章の軽微な修正 2020/2/10
オリンピック延期を追記 2020/4/12
Windows 10 1809のサポート期限を変更 2020/4/17
Office365の名称変更を追記 2020/4/18
バージョン履歴表を更新:2020/4/19
バージョン履歴とマイクロソフト サブスクリプションの呼称を変更:2022/11/25

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