会員の皆様へ(2016年3月のご挨拶)

Virtual PC (Windows 7) の利用

(0)目次

 (1) はじめに
 (2) Virtual PCとXPモードのインストール
 (3) XPモードの起動
 (4) XPモードの終了
 (5) XPモードの世界
 (6) XPモードのネットワーク接続
 (7) XPモードのデータ保存先
 (8) XPモードのホスト上の保存場所と設定ファイル
 (9) XPモード上のホストマシン側のドライブ
 (10)XPモードからの印刷
 (11)XPモードでのログオフ
 (12)XPモードの設定
 (13)統合機能を有効にできないエラー(2016/4/21 追記)
 (14)終わりにあたって
 

(1)はじめに

すでに、旧聞に属しますが、Windows 7の発売時(2009年10月)に、Windows XPからの移行促進策として、仮想環境構築ソフト「Virtual PC」が利用可能となりました。
 また、併せて、XP でしか動作しないソフトを動かすために、「Windows XP mode」というWindows XP環境(OS)を無償で利用できます。
 当方では、以前ここに書きましたように、「Virtual PC 2007」の利用を行っていたため、「Virtual PC」を利用しないままになっていました。
 2016年になり、7年前にWindows XPのパソコンをお世話をした生徒さん宅のパソコンが壊れ、新しいパソコンへと買い換えをサポートしました。
 そこで、XP環境でのみ動作するソフトをどうしても動かしたいという、ご要望があり、インターネットに接続しない環境であることから、やむなく、Virtual PCとXPモードを利用することになりました。
 なお、Windows 10上のHyper-Vの利用も考えましたが、別途、XPのライセンスを必要とすることと、ホストマシンのOSが使い慣れたXPから相当変わることの2点の理由から断念しました。
 以下、Virtual PCとWindows XP mode の利用方法について、心覚えとして記載します。 
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(2)Virtual PCとXPモードのインストール

皆様ご承知のように、Windows XPは、2014年4月9日にマイクロソフト社のサポートが終了しています。
 買い換え用のパソコン「Epson PC」は、Windows 7 Professional 64ビット(Windows 10 Professional)のダウングレード権を利用)です。
 XPのサポート終了以前は、Epson社からの出荷時に、すでに、Virtual PC、Windows XP modeの利用が可能でしたが、現在では、インストールされていません。
 そこで、下記のマイクロソフト社のサイトから必要な2つのファイルをダウンロードします。
 http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows7/install-and-use-windows-xp-mode-in-windows-7、
 インストール手順は、上記のサイトに説明されていますので、省略します。
 「Virtual PC」は、Windows 7のみに提供されているソフトです。
 また、「Windows XP mode」は、Virtual PC上でWindows XPを利用するために無償で利用が認められているものです。
 なお、Windows 10には、より進化した仮想ソフトである「Hyper-V」が備えられていますが、Windows XPをインストールするためには、XPのライセンスが必要となります。
 XPモードで作成した仮想ハードディスクを無理に移行してもライセンス認証に失敗して使用できません。

 従いまして、XPモードを使い続けたい場合、Windows 7からWindows 10にアップグレードすることは、お勧めできません。
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(3)XPモードの起動

Virtual PCとXPモードを利用すると、Virtual PC 2007を利用しているときとほぼ同じような使い勝手を実現できます。
 Virtual PCとXPモードのメリットは、XPのライセンスが無料であること、USB接続が利用できる点です。
 別途記載しましたように、ゲストマシンであるXPモードからホストマシンであるWindows 7(以下「7」という)にリモート接続してコントロールする点が「Virtual PC 2007」とは、異なります。
 PCの電源を入れて、7が起動した際、仮想マシンであるXPモードは、自動的には、起動しません。
 仮想マシンを起動するには、スタートメニューまたはデスクトップ上の「Windows XP Mode 1」(以下「XPモード」という)のアイコンを開きます。
 すると、7のデスクトップ上に下図のような新規のウインドウが重なって表示されます。
この背景が「草原」のウインドウがXPモードの画面になります。

作成した仮想マシン。
コンピュータ名:VirtualXP-XXXX、(既定では、自動的に生成されます)
基本ソフト(OS):Windows XP(32ビット版)SP3、
管理者(Administrator):XPMuser
パスワード XXXXX
作成後に、管理者:user、パスワード XXXXを追加しています。
 この、userがXPでしか動作しないソフトを利用する場合のユーザーです。
 今回は、当方の環境で、一時的にインターネットに接続してライセンス認証とWindows Updateを適用しました。
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(4)XPモードの終了

XPモードのウインドウの最上部に「操作」というメニューがありますので、図2のようにクリックすると、「閉じる」という命令があります。
 それを使います。




すると、下図に示すように、7の画面上に時間の経過を示す表示が短時間現れます。


 これは、「XPモード」を「休止状態」に移行することを表しています。(後述の「シャットダウン」(電源を切る)ではありませんのでご注意ください。)
 休止状態とは、マシンのメモリーの内容をハードディスクに仮に保存しマシンを低電圧状態にすることです。
 もっとも、XPモードは、仮想マシンですので、低電圧といっても休止状態の仮想マシンに電流が流れているわけではありません。
 その意味で、見た目は、シャットダウンと大きな差は、ありませんが、休止状態を使うことで、再度、XPモードにするための時間を短くするためのものです。
 なお、休止状態のXPモードは、7のシャットダウン時には、XPモードをシャットダウンしたのと同じことになります。
 XPモードをシャットダウンしたい場合は、下図のようにウインドウ上部の「Ctrl+Alt+Del」メニューをクリックすると、「Windowsタスクマネージャ」のダイアログボックスが開きます。
 シャットダウンというメニューから「コンピュータの電源を切る」を選択してください。

すると、次図のような警告が表示されます。




 間違って選択した場合を除き、「はい」をクリックします。
 XPモードのシャットダウンの進行を表す表示が短時間表示された後にXPモードは、完全にシャットダウンされます。
 なお、XPモードがシャットダウンされていない場合は、仮想マシンの設定項目(後述)のいくつかを変更することができません。
 XPモードの設定を変更する場合は、シャットダウンした状態(7を起動した直後は、その状態)で行ってください。
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(5)XPモードの世界

XPモードは、仮想マシンです。
 この「仮想」(バーチャル)というのは、リアルなマシン(実機)とは別のパソコンのように振る舞うことを指します。
 従いまして、XPモードには、下図のように「スタートメニュー」、「マイコンピュータ」、「マイドキュメント」など本来のXPに備わっている既定のフォルダをはじめとして、XPの標準のソフト(メモ帳やペイントなど)、日本語入力用の変換ソフトなども、リアルマシンである7とは、別にあります。また、当然ですが、ハードディスクやプリンタなども別であるように見えます。


 これだけですと、XPの世界から7の世界にデータをコピーしたり、逆に7の世界からデータをコピーしたりができないわけです。
 そこで、「Virtual PC」では、「リモートデスクトップ」という技術を利用して、XPモード側から7側のハードディスク等にアクセスすることができます。
 なお、リモートデスクトップは、XPモード側から7側をコントロールします。7側のプログラム等がXP側に直接アクセスすることは、できません。
 ただし、「クリップボード」は、共通です。
 利用者が7上で対象を指定して右クリックして「コピー」を選択して、XPモード画面内で右クリックして「貼り付け」を実行することにより、7上からデータをXPモード内にコピーすることは可能です。
 XPモードの標準的な設定では、7のすべてのハードディスク(正確にはドライブ)及び光ドライブがXPモードからアクセス可能となっています。
 マウスの操作は、7またはXPモードそれぞれの当該画面内をクリックすることで、どちらで有効になるかを指定したことになります。
 2つのウインドウを行き来する場合は、注意してください。


 XPモードへのソフトのインストールは、光ドライブ等から行うことができます。
 このように、Virtual PCを利用した場合は、ホスト側のドライブが既定で、共有されていることが特徴です。
(ドライブの共有は、仮想マシンの設定で変更できます)
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(6)XPモードのネットワーク接続

 インターネットを利用する場合は、7の実在のネットワークアダプタ(NIC)を指定します。
 現在、
 7:192.168.131.65、
 XP:192.168.131.64、が固定IPアドレスとして割り当ててあります。
 デフォルトゲートウェイ:192.168.131.254。
 これは、ホスト側のプリンターを利用する場合に影響するようです。
 後述の仮想マシンの設定で、変更することができます。
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(7)XPモードのデータ保存先

XPモードは、仮想環境ですので、仮想マシンが休止状態又はシャットダウン中は、当然、その中のデータにアクセスすることができません。
 従いまして、XPモードでは、ログオン時及び定期的にバッチファイルで、XPモードのCドライブのフォルダを7上の「パブリックフォルダ」にコピーするようにしました。
 なお、コピー先は、パブリックフォルダでなくても差し支えありませんが、7のユーザーのドキュメント内の「マイドキュメント」は、既定では、XPモード上からは、見えません(共有されない)。
 ・コピーするフォルダは、XPモード上の4つのフォルダとしました。
 マイドキュメント→7のC:\Users\Public\Documents\XPパソコンデータバックアップ\XPMydoc
 デスクトップ→7のC:\Users\Public\Documents\XPパソコンデータバックアップ\XPDesk
 データ1、
 データ2、
 1番目のマイドキュメントには、XPの世界ですので、マイピクチャ、マイミュージックなどが含まれています。
 3番目と4番目は、当該ソフトで利用しているデータです。
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(8)XPモードのホスト上の保存場所と設定ファイル

仮想マシンが起動していないと、そのデータ等にアクセスすることはできません。
 では、その仮想マシン自身は、ホストマシンの7のどこに保存されているのでしょうか?
 ・vhdファイル(仮想マシンのハードディスク)
 実際は、仮想マシン側でハートーディスクを2つ以上利用するように設定した場合は、複数個存在する場合もあります。
 1つしか利用していない場合は、現在利用しているものは、○○.vhdというものです。その他のは、バックアップ用のファイルです。
 ここで、○○は、仮想マシンの名前です。
 C:\Users\user\AppData\Local\Microsoft\Windows Virtual PC\仮想マシン\○○.vhd


・vmcxファイル(仮想マシンの設定ファイル)
 これは、仮想マシンの構成等を記述したものです。
 サイズ的には、小さなファイルです。
C:\Users\user\Virtual Machines\○○.vmcx


 これらのファイルが失われてしまうと仮想マシンは、起動できなくなります。
 なお、XPモードのディスクは、可変ディスクという容量が可変のものです。データ容量に応じてサイズが拡張されます。
 また、元々のXPの基本イメージとの差分(違い)を上述の子ディスクに記録しているため、親ディスクが必要であり、親ディスクは、下記にあります。
 C:\Program Files\Windows XP Mode\Windows XP Mode base.vhd
 XPモードが壊れた場合、親ディスクがないと子ディスクのみでは、XPモードは、復元できません。
 そのため、上記の親ドライブの内容を7のDドライブにコピーを作成し、また、DVD-Rにて、コピーを作成しました。
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(9)XPモード上のホストマシン側のドライブ

XPモード上のマイコンピュータを開くと下図のようにホストマシン、7上のドライブも見えます。


 図に、「その他」として分類されているものがそれです。
 この中で、たとえば、EPSON PCのCは、7のCドライブ、EPSONPCのQは、光ドライブです。
 また、EPSON PCのEは、USBメモリーです。
 USBフラッシュディスク(USBメモリー)を差し込んだ場合は、「その他」の中に現れます。
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(10)XPモードからの印刷

XPモードでプリンタを利用する場合は、 7側でプリンタを共用する設定を行った上で、XPモード上でプリンタをインストールする必要があります。
 XPモードは、32ビット環境なので、プリンタドライブのインストール時に注意が必要です。
 プリンタは、LPTに接続したようにインストールします。
 そして、前述のようにネットワーク接続を適切に設定しておくと、XPモード上にホスト側のプリンタが現れます。
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(11)XPモードでのログオフ

XPモードのスタートから「ログオフ」を選択した場合は、現在のユーザー「user」からログオフし、下図のようにユーザー名とパスワードを聞いてきます。


 現在利用できるユーザーとパスワードは次のものです。
・ユーザー名:XPMuser
パスワード:XXXX
 (これは、XPモード利用開始時のユーザー名)
・ユーザー名:user
 パスワード:XXXX
 (当該ソフトを正常に利用できるように追加したユーザーです。
 当初、XPMuserでPCAのインストールと実行をテストしましたが、エラーが出てしまい正常に実行できませんでした。
 しかし、当方の環境でテストした場合は、正常に実行できたため、その違いが何であるかを考えた末に個人別フォルダが作られていないとうまくいかないのではないかと予想し、ユーザーを追加したものです。
 仮想マシン名が「Windows XP mode 1」のように「1」が付加されているのはそのためです。
 ログオフした場合は、下図のように正しいユーザー名とパスワードを入力してOkをクリックすることでXPモードの画面になります。



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(12)XPモードの設定

XPモードがシャットダウンされている状態で、スタートメニューのWindows Virtual PCから、「仮想マシンの管理」とたどり、仮想マシン名(Windows XP mode 1)を右クリックして「設定」を開きます。






 仮想マシン名、メモリー容量(512MB)は、特に変える必要は無いでしょう。



 ハードディスク1は、すでに記載したように、子ドライブが「仮想ハードディスクファイル」に表示されているものです。
 また、親ディスクと表示されているものが前述の親のドライブになります。
 これは、無償のXPのイメージです。(7でXPモード利用時のみ使用可能です)
 これらも変更しない方が無難です。


 DVDドライブは、標準では、上図のように7の光ドライブを利用する設定です。


 統合機能は、極めて大切な部分です。
 右側のチェックボックスでOnになっている機能、すなわち、ハードディスク、クリップボード、プリンターがXPモードで共用できます。
 ホスト側のドライブの共有設定は、ここで行います。


 ログオン資格情報は、XPモードを起動した際のユーザー名とパスワードを削除できます。
 削除した場合は、次回起動時にログオンする必要があります。
 上では、userが自動ログオン(XPモードの起動時に自動的にログオン)する設定になっています。


  ここをOnにすると、7のスタートメニューにXPのソフトが追加されているように表示されます。
 当該ソフトを選択すると、見た目は、7の画面内で実行されているように見えます。便利な機能です。
 仮想マシンと実際の実機との区別が曖昧になりがちなので、今回は、あえてOffにしました。  


 XPモードを閉じる場合の仮想マシンの動作を規定します。
 現在は、前述のように「休止状態」としてあります。
 ここをシャットダウンとすると「閉じる」たびにシャットダウンされ、XPモードの起動時に通常起動されます。
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(13)統合機能を有効にできないエラー(2016/4/21 追記)

Virtual PCの実際の運用におついて、下記のエラーが発生する場合があることが分かりました。
 それは、Windows XPモードの起動時に「統合機能を有効にできませんでした」と下図のエラーが表示されて、仮想マシンを正常に開くことができない場合がありました。
 

 続行、を指示した際は、XPのウインドウがブルースクリーンエラー(STOP 0X・・12)が表示されます。
 仮想マシンのツールバーのCtrl+Ald+Delを押しても、BIOSの起動表示のあと、そのままになってしまいます。
 ツールバーの「閉じる」を押した際は、正常に終了できないので、シャットダウンします、と表示されて仮想マシンは、終了します。
 インターネットを検索すると、2010年11月に同様の質問がマイクロソフトのコミュニティに上がっていたことが分かりました。
 複数の方が同様の事態に遭遇されていました。
 そこでの改良方法としては、次の2点でした。
 1.仮想マシンのフォルダ
  通常は、C:\Users\ユーザー名\AppData\Local\Microsoft\Windows Virtual PC\仮想マシン名
  内にある「○○.vsv」ファイルを削除(リネームでもよい)する。
 2.仮想マシンの設定で「閉じる」際の動作を「休止状態」ではなく「シャットダウン」とする。
 ただ、私が経験したケースでは、上の2つのいずれも、効果がありませんでした。
 最後の手段としては、仮想マシンの再構築しかないようです。
 やむを得ず、Virtual PCの使用をあきらめて、「Virtual PC 2007」を利用しました。
 Windows 7での「Virtual PC 2007」の利用方法は、以前、ここに記載しましたので、繰り返しません。
 もし、上記のエラーが出てない方は、方法の2にある「休止状態」の利用を止めておくことも防止策となるかも知れません。
 いずれにしても、Windows XPのサポートがすでに終了していますので、インターネットに接続されている環境では、XPの利用をお勧めできないことは、明らかではあります。
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(14)終わりにあたって

 今回は、仮想マシンソフト「Virtual PC」と「Windows XP mode」を取り上げてみました。
 ご覧いただきありがとうございました。
    では、次回も、本欄で元気にお会いできますことを願っています。
    なお、マイクロソフト社によれば、2016 年 1 月 12 日 (米国時間) 以降、各OSでサポートするインターネットエクスプローラのバージョンは、それぞれのOS毎の最新版のみとなります。
  現在、 Windows Vista  SP2 は Internet Explorer 9 、Windows 7 SP1 、 8.1、10は、Internet Explorer 11 が最新版です。
  念のため、ご確認ください。

  バージョンは、インターネットエクスプローラのメニューバーのヘルプからバージョン情報とたどることで分かります。
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作成日 2016/3/1、目次を追加 2019/5/5

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