会員の皆様へ(2009年11月のご挨拶)

テントっているの?

目次

 運動会とテント
 テントの語源
 結界
 テントっていらない!
 終わりにあたって

運動会とテント

みなさま、お元気でしょうか?
 新型インフルエンザの流行が拡大する中、手洗い、うがい、マスクで自己防衛に努めましょう。
 いきなり、余談になりますが、「新型インフルエンザ」って、言いにくいですね。「シー型インフルエンザ」に聞こえてしまいます。
 実は、よく聞く、「A型」と「B型」のインフルエンザ以外に「C型インフルエンザ」は、すでにあったのですね!(今回、知りました)
 残念です。今回の「新型インフルエンザ」は「C型・・」とは言えません。
  さて、この新型インフルエンザのため、各地で運動会や学園祭などが縮小や中止になっています。
 練習を重ねた生徒さんや楽しみにしていた父兄の方々には、本当にお気の毒なことです。
 ところで、運動会と言えば、「本部」、「受付」などと張り紙をした「テント」がたいてい、登場しますね。
 まれに、強い風で飛ばされて、けが人が出たりします。
 でも、キャンプ場でもなく真夏の海辺でもなく、平地でしかも雨も降らないのに、どうして、運動会となると、テントを張るのか、みなさん、不思議に思いませんか?
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テントの語源

日本語の「テント」は、広辞苑第六版によれば、「【tent】雨露・寒暑を防ぎ或いは露営するため、支柱を立て布を張り覆う軽便な家屋。天幕」とありますように、英語の「tent」から来ています。
 そして、ヤフーの「プログレッシブ英和中辞典」を引いてみますと、「tent」は、ラテン語の「tenta」(保たれるもの、伸ばされるもの)、から来ているとのことです。
 これらから想像すると、元々は、軍隊などで野営のために設置したテントが、その後、運動会の本部や交通安全の監視所、あるいはバザーなどの販売所などの利用に広がったものと思われます。
 漢字では「天幕」とも書くようです。
 天幕には他の意味として天井から下がっている幕もあります。
 こう考えると「幔幕」も似ている気がしますが、幔幕は、戦国時代などで陣営の回りに張り巡らす幕のことです。
 これは、現代では、祝儀会場の紅白の幕や不祝儀の場での黒白の幕に残っています。
 「幔幕」という言葉は、漢字であることから中国伝来のものでしょう。
 なお、今は「幔幕」とは言わず、専門業者さんのページを拝見すると「紅白幕」、「黒白幕」、「青白幕」など模様の色、形で呼ばれているようです。
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結界

このように「テント」も「幕」も元々は、軍事的な目的があったわけですが、軍事や登山といった本来の目的以外の運動会や葬儀などでのテントの使用は、今では儀式的な意味しか持たなくなっています。
 すなわち、テントで区切られた空間は、一種の「結界」であり、他の部分と一目で区別される特別な場所です。
 運動会などでは、テント内に校長先生や来賓の方などが座っていましたし、会社の運動会では、社長さんや役員さんが座っていました。
 これは、前述の結婚式などの紅白幕も同様です。そこが「ハレ」の場であることを周囲の人に明示しているのでしょう。
 黒白幕も同様にそこが「忌み」の場であることを伝えているわけです。
 こう考えると、葬儀が寺や葬祭会館内で行われる場合で、雨天や寒中にも関わらず、わざわざ、外にテントを張って「受付」を設ける理由は、受付の人を「死の穢れ」から守るためか、あるいは、そこからが日常と非日常との境であることを明示したいためのどちらかでしょう。
 そういえば、昭和天皇の葬儀(大喪の礼:1989年2月24日)の時に新宿御苑内に小屋を建て、来賓の方々を収容したことを思い出します。
 寒い頃だったので、暖房用のストーブや膝掛けなどが用意されました。
 とは言っても、特に高齢の方には、大変だったでしょうね。
 テレビで見ていた私たち庶民の方が暖かかったです。
 おそらく、諸外国の方は、皇居や武道館ではなくて、どうして、こんな場所でと、頭の中で「?」がぐるぐる回るのを感じながら、帰路につかれたことと拝察いたします。
 ホント、お気の毒でした。
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テントっていらない!

ということで、儀式用に外に設けるテントは、ほとんど、不要でしょう。
 特に運動会やバザーなどで、広い会場にテントを設ける必要は、雨天を除いてありません。
 風で飛ばされて怪我をするくらいしか役に立たない代物です。
 また、大きいテントは、組み立てと分解に人数と力が必要で手順も結構面倒です。
 隣に立派な体育館や校舎があるのに、外にテントを張って、「本部」や「受付」、「救護所」などを作ることはありませんなぁ。
 もし、どうしても、何か目印を立てたいという社長さんがいるならば、「旗」や「のぼり」がいいでしょう。
 簡単に立てられますし、たくさん立てると華やかです。
 寺や神社で「○○観音」とか「△△参り」などという旗が延々と立っているのを見ます。あれですよ。
 テントが本当に役に立つのは、軍事や地震などの時でしょう。
 なるほど、それは、それで、呪術とは別の意味で、「非日常」的なシーンですね。
 なお、テントに比べて、「紅白幕」などは、実用的な価値は無いものの、風で飛ばされて危害を及ぼすという可能性は、ほとんどありませんので、無理に止めることはないでしょうね。
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終わりにあたって

 今回もご覧いただき、ありがとうございました。では、来月まで、どうか、お元気でお過ごしください。
 今後とも、ご愛読のほど、よろしく、お願いいたします。
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