会員の皆様へ(2007年12月のご挨拶)

検索力の重要性

目次

 山茶花(サザンカ)の花
 情報の入手力=時間+金から=時間+検索力へ
 生活速度の向上により、情報の入手力⇒検索力
 「生活の速度」はなぜ速くなるのか
 ホームページ検索のコツ
 終わりにあたって
 おまけ 「地球日傘計画」について

山茶花(サザンカ)の花

拙宅の山茶花が咲き出しました。特に香りはありませんが、つつましやかな小振りの花がいいですね。
 社会思想社「写真 俳句歳時記」では、山茶花は、「茶梅」とも書くそうで、初冬の季語として取り上げられています。
 山茶花や落花かかりて花盛  花蓑

 ところで、先月のご挨拶「備えあれども、憂いあり」で芭蕉の有名な句、「秋深き隣は何をする人ぞ」を掲載し、「秋深し・・」は私の記憶違いと紹介いたしましたところ、K先生より、お手紙を頂戴しました。詳細は、上記の追記記事をご覧いただくとして、要するに、「秋ふかし隣はなにをする人ぞ」も芭蕉翁の句として伝わっていて、二つの句のニュアンスは異なるとしても、どちらも芭蕉の句として掲げるのは、正しいとのことです。
 ここに記載して、訂正いたします。
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情報の入手力=時間+金から=時間+検索力へ

現代は、情報があふれているように見える一方で、知りたい情報が見つけられない現象が起きており、特に、「デジタル・ディバイド」と言われるように、デジタル情報の入手力について、個人間の格差が広がっています。
 1990年頃までは、会話・口コミ、新聞(公報誌やミニコミ誌を含む)、テレビ、ラジオ、本、雑誌が主な情報の入手先でした。
 この中で「本」と「雑誌」は、自らが購入又は図書館等で借りてくる必要がありましたが、それ以外は、言わば、「放送」または「放送」に近く、私たちは、受け身の立場でした。極論すれば、これらのメディアを通じて、情報は、待っているだけで手に入ったわけです。
 もちろん、待っているだけではなく、これらの放送の視聴や本屋の店頭での本・雑誌の購入の際には、自分に役立つかどうかを見極める「情報の選別力」は、必要でした。
 しかし、それも、選別の対象となる数は、自ずと限られたものでした。
 すなわち、この頃までは、個人の「情報の入手力」は、そのために費やせる「時間」と「お金」で、ほぼ、決定されたと言っていいでしょう。

 ところが1990年以降、特に2000年代に入ってからのインターネットの発展は、めざましく、今までのメディアを押しのける勢いです。
 そして、インターネット上の情報は、デジタル情報が主ですから、インターネットから上手に情報を検索できるかどうかという「検索力」が「情報の入手力」の差を分ける重要なポイントになってきたわけです。
 そして、見逃せない点は、インターネット上の多くの情報が無料で提供されていること、及び、定額ブロードバンドの普及によりインターネットの利用料金が安くなったと言う点でしょう。
 このため、現代では、「情報の入手力」は、「時間」と「検索力」に支配されるようになったと言えるでしょう。
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生活速度の向上により、情報の入手力⇒検索力

多くの専門雑誌の休刊に象徴されるように一部の既存メディアの退潮は、明らかです。
 雑誌の購入に対価を支払うより、インターネット上の無料の情報で事足りるとすれば、これは、当然の帰結です。
 また、インターネット上の情報が「すぐ手に入る」というリアルタイム性を持っている点も大きいでしょう。

 筆者が時たま利用する「bk1」などのインターネット通販専門の書店が24時間以内の配送(※)にこだわっているように感じられるのは、やはり、この「リアルタイム性」をできる限り、持たせたいということかと思われます。
 これほどのリアルタイム性を追求する理由は、私たちの「生活の速度」が速くなってきていることが原因です。
 そのため、この特性に欠ける月刊誌や季刊誌の退潮が著しいのは、必然的なことです。

 情報の入手に要する時間がこのようなリアルタイム性の追求により短くなることは、上述の「情報の入手力」の一方のファクターである「時間」の比重がもう一つの要因である「検索力」のそれに比して低下しつつあるということを意味しています。
 すなわち、現代における「情報の入手力」は、ほぼ、「検索力」で決定されつつあると言えるでしょう。
 (※ 個人的には、当日の朝にネットで注文したものがその夜には届くというのは、少し、行き過ぎのようにも感じられるのですが・・。)
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「生活の速度」はなぜ速くなるのか

では、なぜ私たちの「生活の速度」は、速くなるのでしょうか?
 いや、そもそも、ここで言うところの「生活の速度」なるものは、定義あるいは測定可能な項目なのでしょうか?
 確かに、なにを「生活の速度」というかが明確にならないと議論になりません。
 そこで、ここでは、工場の生産ラインを考えてみましょう。
 たとえば、車1台の生産に要する時間は、どんどん、短くなっています。
 このため、1台あたりの管理や販売に要する時間も短縮が求められます。

 これを普遍すれば、物や情報の「生産速度」が上がれば、それを取り扱う人たちの速度(能率)もアップすることが必要だと言えるでしょう。
 これは、1日が24時間という一定の長さしかないからです。
 休養や睡眠のための時間を削ることは限界があります。
 すなわち、「生活の速度」は、「生産の速度」に比例する「何もの」かと、仮定することが許されるでしょう。

 今では、コンピュータやオートメーションの発達により、以前の「女工哀史」のような深刻な事態は、ある程度は、避けられてはいます。
 しかし、今日でも、人々がこの影響から完全に逃れられることはできません。
 というより、皮肉なことにこれらの技術の発達は、ますます、生産速度を向上させることになり、結果、生活の速度をアップさせることになっています。
 そうです。「生活の速度」の向上は、結果として、さらなる物や情報の生産速度の向上を要求します。
 前述の本の配送時間の短縮の競争などは、典型的な例です。
 従って、生活の速度の上昇には、正のフィードバック効果がかかっていると言えるでしょう。

 では、「生産の速度」の向上に対するブレーキになるものは、あるのでしょうか?
 負のフィードバック要因として考えられるのは、広い意味での生産コストによる抑制効果でしょう。
 ここでのコストには、単純な生産コスト以外にエコロジー的な環境への負担といったものも含めます。
 これが生産の速度を抑える要因です。
 このように考えると、「スローライフ」の実現には、単に生活のリズムをゆっくりさせるという個人の努力だけではどうすることもできない面があります。
 すなわち、そのためには、物や情報の生産速度を抑えることが必要です。
 しかし、これは、なかなか実現が難しいため、「生活の速度」の上昇は、当面、止みそうにありません。
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ホームページ検索のコツ

2001/4の今月のご挨拶で「ホームページ検索のコツ」という記事を掲載しました。
 だいぶ、時間が経過して状況が変わってきていますので、少し、追加・訂正しておく必要がありそうです。
 まず、なんと言っても、検索サイトにおける、Googleの進出でしょう。
 上述の記事では、「新顔の」という形容詞でGoogleを紹介しています。
 当時は、これほど、Googleが勢力を拡大するとは、思わなかった証拠ですね。むしろ、「goo」の方がメジャーでしたから。

 しかし、現在では、Googleのシェアは、gooを凌駕しています。
 やはり、「ページ・ランク」という概念が良質の検索結果を機械的に得るための大きなポイントになっているようです。
 また、「新幹線の予約はできません」、と書いたのですが、皆様、ご承知のように、現在では、「えきネット」でできてしまいます。
 まさに「インターネットの世界は、日々、刻々と変化していますので、昨日できなかったことが今日は、できるかも知れません」という上述のページに書いたとおりです。
 「ブログ」については、当時、まったく触れていません。
 現代では、検索サイトのオプションで「ブログ」フィルターを利用すれば、検索結果からブログ記事をカットすることができます。
 要は「しつこく、あれこれ、試してみることが大事」ということが強いて言えば、今も変わらぬコツだとも言えるでしょう。
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終わりにあたって

 今回もご覧いただき、ありがとうございました。
 今年は、寒い冬になりそうです。私も先月末にインフルエンザの予防注射をしました。
 これから、年末にかけてご用繁多の方も多いかと思いますが、できるだけ、休養と栄養をとるようにして、体調管理に万全の配慮をお願いします。
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おまけ 「地球日傘計画」について

2006/2の今月のご挨拶で「地球日傘計画」について、記載しました。
 その後、それこそ検索してみると本テーマでは、1980年代にアメリカを中心にいろいろと研究が行われていることがわかりました。
 太陽、地球、日傘用衛星の運動を扱う「制限3体問題」の特殊解の一つである平衡点(ラグランジュ点のうちの L1=地球から約160万キロメートル)に無数の日傘用衛星をおくというアイデアが最初であるようです。
 これは、昨年あたりに再発掘されて一時、ブログを中心に話題になったようです。
 確かに私の記事のように地球近傍に金属箔を展開した場合は、薄い箔を展開するという困難さ以外に、その箔からの放射熱の影響を強く受けてしまうでしょう。
 でも、実際、このあたりの熱の収支の問題はどうなのかな、と思いながら、このおまけを書いています。
 なお、太陽からの熱線を遮る以外に地球からの排熱を効率化するという方面は、どうなのか。
 実現可能なアイデアは、ないのか、などということも興味のあるところです。
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