会員の皆様へ(2005年12月のご挨拶)

今年の漢字は「偽」か?

センリョウの実

年の暮れもあと一月。庭のセンリョウが赤い実を付けています。センリョウは、「千両」に通じるというので昔からマンリョウ(万両)などとともにお正月の縁起物とされています。
 この「縁起物」という表現も、もはや死語に近いかもしれませんね。
 松竹梅や鶴亀は、言うに及ばず、古来、縁起のよいとされる動植物や鉱物、置物などがたくさんあります。
 それらを身近に置けば、良いことが起きる、あるいは、不吉なことから自分や家族が守られると考えたのでしょう。
 少し前に流行った「風水」は、それの中国版でしょう。
 とここまで書いていましたらば、こんな本を見つけてしまいました。
 その名も「ふくもの」(上大岡トメ;ふくもの堂 著。小学館 2005/12出版 )
 これは、いわゆる縁起物について書かれているようです。

今年の漢字

財団法人 日本漢字能力検定協会では、1995年よりその年を一文字で表す漢字を募集しています。
ちなみにこの10年間の漢字は、次のとおりでした。
1995年・・「震」(阪神大震災)
1996年・・「食」
1997年・・「倒」(会社倒産多発)
1998年・・「毒」(ヒ素事件)
1999年・・「末」(20世紀の終わり)
2000年・・「金」(オリンピック)
2001年・・「戦」(イラク戦争)
2002年・・「帰」(北朝鮮拉致)
2003年・・「虎」(阪神優勝)
2004年・・「災」(中越地震)
 このように見てみると良い字は少ないですね。2000年と2003年ぐらい。
 2005年の漢字は、2005/12/5まで、上記団体で募集しています。私の予想では、ずばり「偽」でしょう。
 インターネット上のフィッシングサイトやオークションの偽ブランド商品、住宅リフォーム詐欺、振り込め詐欺に加えて、極めつけは、マンション・ホテルの強度偽装から海外では、イラク開戦にまつわる疑惑まで、今年は、「偽」に明けて「偽」にくれる年になりました。

TrueとFalse

話は、替わって、プログラムの世界では、真(True)と偽(False)という値を用いることがあります。
 VBAなどでは、Boolean型としてこれらの値を入れる1バイトの変数を使用したりします。
 また、if文などで条件に合致している場合を真、そうでない場合を偽と称します。
 これらの場合に道徳的な価値を意識しているわけではありませんが、日本語の日常用語としては、少々、違和感があるのも事実です。
 むしろ「一致」と「不一致」といった方がわかりやすいかも知れません。

まず疑う(悲しいことですが)

パスカルは、彼の哲学書の中で「我思う故に我有り」と語ったという。すべてのものを疑った時に、このすべてのものを疑っている自分自身を疑うことは、できない、ということを悟った、と勉強したように思います。
 ここでは、このような高踏的な話ではありません。
 彼の時代から時は、移り、今やすべての人や物、データ、ニュースまでを、まず、疑うべきであると子供たちに教えなければ、ならないという時代になりました。
 ・うまい投資話は、疑ってかかる。
 ・怪しいメールは開かない。
 ・おかしな息子?(娘?)からの電話は、再度、電話する。
 ・あまりに一般に比して安価な物は、その原因を調べる。
 ・うかつに玄関を開けない。
 ・うかつにアンケートに答えない。
 ・うっかり・・・・
 ああ、書いていて気が滅入ります。

信頼の輪を

インターネット上で使用されるデジタル証明書は、信頼の輪を基に構築されています。
 日常生活でもかつては、親戚、隣人やブランド品や世間で知られた会社の製品は、安心!安全!というイメージがありました。
 これらは、現在、崩れかけて(あるいは、崩れてしまって)います。
 これらを再度、きちんと構築していくことが、たとえ、それが賽の河原の石積みとしても、我々一人一人に求められています。
 信頼は、金銭では、購うことができません。
 しかし、信頼の輪が損なわれたときの損害は、すべて賠償保険で対応できるように制度を確立していくべきでしょう。

終わりにあたって

では、今月は、ここまで。
 今後も時間ができましたらば、随時、更新していきたいと思います。
皆様、お元気でお過ごし下さい。  


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